目の前には錦江湾、そして4キロ先の対岸には鹿児島市中心部を望む桜洲校区。子どもたちの間ではサッカーが盛んで、全日本代表の遠藤選手などの人材を輩出している地域でもあります。
「市中心街に近いことから都市部的雰囲気を持ちつつも、ここにはまだまだ地域の教育力が残っている」とは桜洲小学校元山達彦校長。「子どもたちは汗を流してよく働くし、保護者はもちろん地元の高齢者の方も自然に学校に入って来てくださる。そのせいか生徒指導で問題がないのも驚きです」と話します。
そんな協力者の一人が民生児童委員などを務める横山幸さん。あるときは島廻り踊りの指導で、またあるときは昔遊びの先生として、子どもたちとかかわっており、「顔を覚えてくれて『幸おばちゃ~ん』と声をかけてくれる。その触れ合いは私にとっても生きがい」と笑います。
島廻り踊りはまだ桜島が島であったころ、桜島の周囲を回る手漕(こ)ぎ船集落対抗戦で女性たちが応援として踊ったもの。市の無形文化財となっていて、横山さんは踊りを復興させた立役者。小池島廻り踊り保存会を結成し、5、6年生へ10年ほど指導しています。子どもたちは運動会でも披露しますが、その折には地域の人々も踊りの輪の中に入って盛り上がるそう。
「桜島や海のすばらしさを一方向からでなく、6年間を通して五感で感じてほしいと、小学校では学年ごとに地域の人々の協力を得たカリキュラムを実施。桜島大根の栽培では市場への出荷まで行い、卒業アルバムの資金の一部にも充てられるほか、給食にも利用され、2月は大根を買わずに済むほどだとか。PTAも親子で歩く湯平ハイキングを行っています。
子どもたちも感謝を表そうと、給食を一緒に食べたり、自分たちが育てた花の苗をプレゼントするなどの行事も行われています。
「地域に暮らす人たちからは、桜島に生まれた誇りを感じます。桜洲の子どもたちにもそんな思いを育ててやりたい。〝いつも自分の後ろには桜島がある〟と思えれば、頑張る力や自信になるのでは」と校長。これは子どもたちにかける、地域の大人の願いかもしれません。

