海沿いを走る国道226号を山手に折れ、知覧へと向かう道の途中にある一倉(ひとくら)小学校。明治14年の創立以来、今年で127年を迎えた、全校児童21人の小さな学校です。
緑に囲まれたのどかな風景が広がる・メダカとホタルの里・は、世帯数が少ないながら、地域の行事も多く、そのどれもに住民の参加率が高いことが校区の自慢です。
「地域のみなさんの協力なくしては、どんな行事も成り立ちません」とは一倉小学校の木佐貫祥一校長。「小規模校には、きめ細やかな学習指導ができ、一人ひとりの能力を最大限に伸すという良さがあります。けれど、小さな世界だけでは体感できないこともあります」。だからこそ、大勢の中でも物おじせず、持てる力を発揮できるよう、学校行事にも地域の行事も、毎回たくさんの人が集まるよう協力し合っているそう。「多くの人の前に立ち、大きくな声援をもらうことで、子どもたちは勇気がわき、自信もつきます。また人々との交流で社会性も育まれるのです」。
もうひとつ校区の自慢と言えば、この土地に古くから伝わる郷土芸能「一倉鎌踊り」。地域の運動会や文化祭で披露されています。「少ない大人たちに代わって、子どもたちが伝承の大きな役割を担っています。1年生から参加しているんですよ」と教えてくれたのは、校区公民館運営審議会委員長の中道重則さん。途絶えていたこの踊りを復活させ、一倉鎌踊り保存会の中心となって、子どもたちに指導しています。
地域の人の田んぼを借りて種まき、苗床づくり、田植え、草払い、稲刈り、脱穀、もちつきまで、稲作の一連の作業を体験する子どもたち。できた米で敬老会にはおはぎ、公民館祭りではもちつき、卒業式には紅白もちも作ります。いくつもの行事の中で地域の人や保護者にふるまい、「ありがとうね」と食べてもらう時、腰が痛くなる田植えにも、暑い日の難儀な草払いにも意味があったことを感じ取っているようです。
豊かな自然環境を生かした体験や地域の人々との交流を通じて、自然を愛する心、他人を思い合う心を養い、地域を担う人材となる人を育てている一倉校区です。

