鹿児島市中心部から車で30分ほど。日本人の誰もが懐かしい思いを抱くような里山風景が広がる郡山花尾校区。この季節、青々と広がる稲の穂先には実が入り、あぜ道には赤い彼岸花が彩りを添えています。
校区の中心にある花尾小学校は大正9年創立。400人を超えていたこともある児童数は少子化の影響で少なくなり、現在は全校生徒42人の小規模校です。「それゆえ、校区の住民は子どもたちのことをみんな知っているほど」と話すのは校区公民館運営審議会委員長の前田利春さん。小規模校特別認可校となっている同校ですが、「子どもは地域の力」と、児童数を少しでも増やすためにキャンプや山登りなどの校区行事を校区外へも開いて、花尾のPRにも余念がありません。
「学校行事も地域の方たちの協力なしで成り立たないほど、密接にかかわり合う地域ですよ」とは東口信校長。今週末開かれるの運動会も4年前からは小学校と校区が合同で開催。子どもと共に大人も選手宣誓を行い、地区対抗の競技も用意され、熱戦を繰り広げます。「みんなが一堂に会して和気あいあいと盛り上がるところに地域の力を強く感じる」と前田さん。運動会前には毎年緑門づくりにも精を出します。
このほか8月に行われる八重山キャンプや11月の花尾山登山なども地域で企画。兼業農家が多くを占める地域だけに、総合的学習で行う米づくりやそばづくりも地域住民が指導。田植えや種まきから始まり、収穫してもちにしたりそばに打ったりして食べるところまで、地域ぐるみで行われるのです。
一方子どもたちも地域の力として一役。校区内には「花尾太鼓踊り」や「大平獅子舞」「岩戸疱瘡踊り」などの伝統的な踊りが残されていて、それを引き継ぐ者として花尾文化財少年団を結成。祭りの前には練習に汗を流します。子どもが少ないがゆえに年齢を超えた子どもたちのきずなにも深いものがあるとか。
「これからも『他人の子もわが子もみんな花尾の子』を合言葉に、地域全体で子どもたちを育ててもらえたらうれしい」と校長。褒めることもしかることも、顔が見える地域の中でこそ子どもたちは子どもらしく伸び伸びと成長していくのでしょう。

